2026.01.12 Mon

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第1話 製材所の社長はバンドマン

#nojimokuで働くってたいへんですよね? ノンフィクション~社員たちの本音~, #トピック

nojimokuってどんな会社なの?
著名人の別荘や、国内有数の大規模プロジェクトに用いる建材を納めるなど、業界では一目置かれる存在。
InstagramやYouTubeを通じた情報発信など、先進的な取り組みをどんどん展開しています。

その本拠地は、三重県熊野市。
パート勤務の方を含めても総勢45名ほどの小さな会社が、なぜ全国各地の商材を取り扱うようになったのか。
中で働く人々の本音を引き出し、nojimokuの実態を探るため、社員インタビューを敢行しました。

今回は記念すべき第1回。
企画に先立ち、まずは社長からお話を伺いました。

家業を継いで20年。バンドマンを目指していた青年がなぜnojimokuに?

――家業を継ぐって、「やり始めたら後には戻れない」というイメージがあります。それでもなぜ継ごうと思ったのでしょうか?

僕の根本として、「誰かの期待に応えたい」というのはあるのかもしれないです。
製材所の跡を継ぎたいというよりも、先代・家族・社員・お客さん・地域の人たちからの「跡を継いでほしい」「帰っておいでよ」という声があったから、ここまでやれているというのが一番でしょうね。

――やめたくなったことはないんでしょうか?

やめたくなったことはないですが、「逃げたい」「しんどい」「押しつぶされそう」という気持ちになることはたまにあります。
でも一回入ったら、やめるという選択肢がそもそもないんですよね。だから続けているというか。

野地社長

――どんなときに「逃げたい」という気持ちになるのでしょうか?

「人との別れ」ですかね。社員が辞めたりとか、協力してくれるパートナー業者さんが離れたりとか。
2年前に社長へ就任しましたが、社長になる前後で、辞める人に対する感じ方が変わりました。

――どんな風に変わったんですか?

社長になってからの感覚は、失恋に近いです。それまでは、社員が辞めても「そうなんだ」「何か理由があるんだろうな」と感じる程度でした。
でも社長になってからは、「僕のことが嫌いなのかな」「僕のおもしろ提供が足りなかったのかな」と考えるようになりましたね。笑

――実際にそういうわけではないですよね?笑

さすがにそんなことを思う人は、誰一人としていないでしょうね。笑

仕事をしていて楽しいと感じるのはどんなとき?

――仕事の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、社長から見てnojimokuではたらく面白さってどんなところにあると思いますか?

何も考えずに黙々と同じ作業をやりたいという人もいれば、完成形を想像して木を切る作業に面白みを感じる人もいます。深く知っている人であれば、「1本の丸太から今日はこれだけの利益が上がった」など経営へ参画したことに対する満足感を感じている人もいます。

――指示を受けたときって、皆さんどういう反応なんですか?

人それぞれですね。全くどうでもいいって人もいます。
僕なんか有名人の別荘と聞くと「配達に行きたいな」とか思っちゃいますけど。

――「〇〇のお家に使うんだよ、だから良いだろう」という社長からの価値観の押し付けがないですよね。

心の中ではときめいているんですよ。笑 でもそれを出すとダサいじゃないですか。だから振る舞いとしては「別に普通ですけど」という感じではいます。
ただ、「できたらどんな感じなんだろうね」ってわちゃわちゃ社員たちと喋るのは楽しいですね。

――逆に社長自身が、仕事をしていて楽しいと感じるのはどんな時ですか?

YouTubeの編集をしているときや、文章を書いているとき、あとは今日のインタビューみたいに色々な人と企画を創り上げていく打合せの時間は好きですね。
とにかく、クリエイティブなことをしているときが楽しいです。

――それは子どものころからずっと好きだったんですか?

創作そのものが好きというわけではなかったですね。
ただ、何か僕にミッションが下りてきたときに、「どうやってやろうか」と考えて、何かおもしろいことがひらめいたときに笑えてしまう。その瞬間がたまらなく好きです。
YouTubeの動画でも、一番面白いポイントはどこか?掴みをどうしようか?と考えるのが楽しいですね。

――お笑い芸人みたいですね!笑

深刻なミッションでも、「逆にこんな感じでやり切ったらいいんじゃない?」と面白いことを思いついてみんなが笑顔になったとき、そういう瞬間が僕は大好きですね。
それが社長としての僕の役割だとも思っています。

逆に、面白くするポイントがない決まりきった仕事は、全然やる気にならないんですよ。笑
たとえ人が嫌がることでも、「好きなようにやっていいよ」と言われた方がワクワクしちゃいますね。

山あいの集落で現場作業。はたらくって大変じゃない?

――熊野って台風がよく通る地域だと思うんですが、お仕事が止まったりしませんか?

山奥にあるので、すぐ雨量が多くなって通行止めになったりしますよ。でも日常なので、みんな慣れていますね。

――東京だとすぐ大ニュースになっちゃいますが、皆さんはどう感じているんでしょうか?

熊野市には台風中継のポイントがあるので、全国のお客さんから「nojimokuさん大丈夫ですか?」というメールがたくさん来ます。実際は、よその人が思っているほど大変でもないんですが。

宣伝効果っていうほどではないですが、それをきっかけに話ができるし、「台風の影響で納期に間に合いません」と伝えても「そりゃそうだよね、テレビ見たよ」と言っていただけたりとか、そういう意味ではちょっと美味しい地域だなと思います。

でも1度だけ大水害にあったことがあります。床上浸水にもなるし、1ヶ月以上機械もぐちゃぐちゃで、あの時は大変でした。

――1回だけというのが驚きです!毎回大変な片付けをしているのだと思っていました。

たった1回ではありますが、そのおかげで水害に対する公共整備が行われて、逆に環境が良くなって安全になりました。
それまでは、「台風が来る」となったら水害対策含め色々やらなきゃいけなかったのが、いらなくなりましたね。

――思えば社長の口から、自虐を含め熊野の悪口をほぼ聞いたことが無いです。

そうかもしれないですね。とはいえ、熊野は特別すばらしい地域か?と問われたら、他の地域と比べてそういうことは無いと感じていて、全国各地その地域ごとに良し悪しや特徴があるわけで。ただ僕は、「僕が生まれた場所」だから大切にしているというのはあります。
でも熊野の個性は必ずあるので、それをPRすることで多くの方に共感してほしいという気持ちは持っています。

目指す組織の理想像は「バンド」のような一体感

――nojimokuさんは従業員の方々とも結構距離が近いですよね。

そうですね。ただ工場内で黙々と働く人たちとは毎日毎日喋る機会があるわけでもないので、割と僕のメッセージが一方的に届いているかもしれません。
でもそこは、間に入る社員たちが僕の言葉を噛み砕いてくれたり、逆にそういう人たちの言葉を汲み取って僕に伝えてくれたりしているんでしょうね。

大事にしているつもりはないんですが、「生きる」と言うこと自体人との付き合いしかないよなとは思っています。

若いころはバンドマンだったので、バンドのような一体感のある組織を目指してはいます。
とはいえ今では、バンドソー(※1)を使って製材をしているので、違う意味でのバンドマンなんですが。笑

※1 バンドソー:製材に使う帯鋸

ハンドソー
バンドソー

妻からは、今でもときどき「ギターを弾いてよ」と言われることがあります。
でもある時、寝ぼけて「もうこれ以上丸太は挽けんわ」と答えてしまったことがあって。

もう僕にとって「ひく」のはギターではなく、丸太になってしまったんだなぁと思うことはあります。笑

――nojimokuさんらしいエピソードですね。私もインタビューをしていて、製材所の社長と話している感覚がないです。

そこが、冒頭にも話した「人からの期待に応えたい」とか「失恋」とかにつながってくるんでしょうね。
そういう意味では、林業とか製材とかは関係なくて、何でもいいのかもしれないなと。

期待されたり、求められたりするのが製材分野や熊野という地域だから、そこで「どうすればもっと面白くなるだろう」とずっと考えているという感覚ですね。

――「競争」がビジネスの軸になっていることが多い世の中で、人との関係性を重要視するnojimokuさんの考えは珍しいと思います。

ビジネスにおいて、競争は必要な要素だとは思います。
でもそれだけだったら、途端に窮屈になるし、面白かったものですらつまらなくなっちゃうと思うんですよ。
だからこそ、「人生の半分を過ごす」と言われる仕事が少しでも楽しくなるよう、良い環境づくりを心がけています。

――社員さんにも、割り切って仕事をしているような人はあまりいないのでしょうか?

そうですね。あまりいないような気がします。
会社の行動指針としても、チームワークとかコミュニケーションはすごく大事にしています。「バンド」のような一体感を出したいなと。

でも、「社員同士好きになれ」とは言っていません。
色々な人間がいますから、性格的に合わないっていうことは当然あります。

でも、それぞれが持つ「能力」という客観的な視点で「お客さんを喜ばせるために、この社員とは何ができるだろう?」という考え方ができると、好きとか嫌いとかどうでもよくなると思うんです。
だからnojimokuでは、「この人は性格が合わないから一緒に仕事できない」というのは無しだよ、という話はしています。

まとめ

熊野市のような山あいにある現場って、夏は暑いし冬は寒い。
雪だって降るし、台風もよく通るから毎回復旧が大変だろうな。
それでもなぜnojimokuの人たちは、楽しそうに仕事をしているんだろう?

と、社長へインタビューするまでは、そんなふうに考えていました。

でも実際は、本州の一番南の方らしいので、雪はあまり降らないんだとか。
寒さも北国ほどではないうえに、山の中なので海沿いから比べると気温も3〜4℃低く過ごしやすいそう。もちろん現場作業なので、室内で働くよりかは過酷です。
それでも、各自が楽しめるポイントを見つけ、仕事に満足感を持てているんじゃないか、とのことでした。

さて、社長のお話は、本当なんだろうか…?
他の社員さんたちのお話を聞いて真相を究明していくのが、もっと楽しみになってきました。
今後のインタビューにご注目下さい!

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