小幅板風羽目板

和風でも洋風でもない、小幅板風

JAPAN WOOD DESIGN AWARD

和風でも洋風でもない、小幅板風

既存の羽目板の表面にスリットを入れてみたらどだろうというアイデアから、北欧の巨匠建築家、アルヴァ・アアルトがマイレア邸やカレ邸で天井に使っている小幅板をオマージュしたデザイン。溝巾を変えたり、面取りの大きさを検討したり、何パターンも試作品を作り、試行錯誤の末にたどり着いたカタチ。

「和」のイメージを
超越する桧

桧材は日本で長く親しまれてきた木材で、香りや品質もよいのが特徴です。その分そのまま使うとどうしても「和室」のイメージがつきまといますが、桧をベースに北欧のような小幅板風のデザインを取り込むことで、桧の上品さ柔らかさと、現代の建築のスタイリッシュな雰囲気に合わせた幅広い表現が可能を可能しました。

デザイン性と
コストパフォーマンス

北欧風の小幅板は壁一面を施工するために揃えると、結構高価になってしまいます。その点小幅板風羽目板は、羽目板にスリットをれることで工数を抑えつつ、高いコストパフォーマンスを実現しています。デザイン性も高く、費用も抑えて導入していただけることで、幅広いタイプの空間を彩る資材としてご利用いただけます。

仕様

仕様詳細

STANDARD スタンダード

スタンダードはこちら。
経年変化を味わえる
無塗装品とクリア塗装品。

ORIGINAL オリジナル

色の個体差を着色塗装でカバー。
新しい色は深く落ちついた色合い。
塗装品だから現場で手間いらず。


NEW

柿渋

桧を住宅建築にもっと身近に取り入れてもらうため、自然塗料よりさらにエシカルでありつつ、オイル系塗料よりさらに自然な風合いを持たせられる塗装方法を模索し、日本古来からの伝統技術である柿渋を使った塗装品を開発しました。

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小幅板風羽目板の納入事例

開発 STORY

STORY 01

デザインコンセプト 小谷和也氏

小谷 和也氏 マスタープラン/小谷和也設計室

nojimokuさんに講演で熊野に呼んでもらった際に商品開発の相談を受け、原木市場や工場を見学しながら8割が杉である日本の山と比べ、熊野は半分が桧であり材料が豊富なことなどを聞き、熊野の桧を使った新商品の開発が始まりました。

桧といえば和風建築のイメージで少し上品すぎて使いにくいというのが最初の印象。ちょうどその頃北欧の建築を見て回る機会があり、山に大きな木が育つ日本と、薄い土壌に細い木の森が広がる北欧との森林文化の違いを現地で体感しました。

フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトのマイレア邸は細い板を並べた天井が印象的ですが、写真集で見ていたそれがデザインだけでなく自然環境に即したものであることを知ることができたのです。

大径木や幅広の板が使われてきた日本と、細い木をうまく使う北欧。建築文化の違いは森から生まれたわけですが、アアルトは日本建築に深い興味を持って引戸や障子に似た建具などを使ったり、日本の建築家はアアルトの建築に影響を受けていたりするのがとても興味深いところです。サウナの流行に見られるように双方には共通する価値観が根底にきっとあるはず。

そこで、日本の桧の良さを活かしつつ、北欧の小幅板のようなリズミカルな質感を持たせたいと考え、様々な検討と試作品の作成を経て桧の小幅板風羽目板は生まれました。


STORY 02

こんな風にできたら…をカタチに

nojimokuのこんな風にできたら:
桧の「和」のイメージが強すぎて、現代の住宅には使いづらい。和室以外でも使ってもらえるシーンが増やせたら…。

お客様のこんな風にできたら:
小幅の板を使ってみたい。でも材料費も張り手間もかかり、コストが高くなってしまうので、何か良い方法はないか…。


イメージをリアルに。設計者と製材所の共同作業

お客様のニーズをもとに考え、既存の羽目板の表面にスリットを入れてみたらどうだろう?というアイデアが生まれました。マスタープランの小谷さんに相談したところ、北欧の巨匠建築家、アルヴァ・アアルトがマイレア邸やカレ邸で天井に使っている小幅板をオマージュしたデザインを提案していただきました。

溝巾を変えたり、面取りの大きさを検討したり、何パターンも試作品を作り、試行錯誤の末にたどり着いたカタチ。【小幅板風羽目板】の誕生です。


優しく深い、新しいシーン

いよいよ、小幅板風羽目板の使われた空間ができあがりました。和っぽさをいい意味で抑えた、可愛らしい表情に。小谷様も「実際に使ってみると大人しかった木目にリズムや動きが生まれるのが楽しく、溝加工のおかげか桧の香りも強く感じることができた」との感想をいただきました。

住まわれる時間とともに、飴色に変化していくのも桧の魅力。年月とともに空間の味わいはだんだんと深まっていきます。


生まれたカタチから、生まれるカタチ

設計者と製材所の「こんな風にできたら…」から生まれた【小幅板風羽目板】。

ある時、設計者の伊礼様より、「小幅板風羽目板を使いたい、ただ桧だと色合いが明るく軽やかな感じになってしまう。今回は落ち着いた空間にしたい。何か良い方法はないか?」というご相談をいただき、塗装なども検討されていたところ、それならばと杉の赤身材で製作。空間にコクを与える、新たなカタチが生まれました。


STORY 03

桧 小幅板風羽目板 自然塗料塗装品 開発の経緯

そんなことで開発した桧の小幅板風羽目板、おかげさまで多くの反響を頂く人気商品になりました。どうしてものっぺりとしがちな桧の木目に溝が入ることで生まれる奥行きと味わいが好まれるようです。

ただ北欧では小幅板にマツなどの濃い樹種が使われるため、そこに近づけるため桧よりも濃い色目を求められるケースが出てきました。代替として杉の赤身を小幅板風加工して対応、ただ木目が粗く色巾も大きい杉ではどうしても小幅板が並んでいるようには見えにくい・・・

また、桧はオイルを塗ると白太部が黄色く、赤身がきついピンクになってしまうため、どうしてもにぎやかな木目になってしまい、小幅に見せる工夫があまり生きてこないことも分かってきました。

そしてコロナ禍によるウッドショック。外材の値上がりが始まり、造作材としてよく使われるベイツガなどの価格も上昇。こういった外材需要を国産材の桧で置き換えることができないか、というのも新たに生まれた問題です。


STORY 04

柿渋塗装品の開発

桧を住宅建築にもっと身近に取り入れてもらうため、常に新商品開発を模索していく中で、自然塗料よりさらにエシカルでありつつ、オイル系塗料よりさらに自然な風合いを持たせられる塗装方法はないか、というのが最近の懸念事項でした。

日本の格子文化からこなみいたを考案したように、できれば塗装にも日本古来からの伝統技術を使いたい、と模索するうちに目を付けたのが柿渋です。

柿渋とは、渋柿を発酵熟成させた天然の塗料。100%天然素材で、有害な化学物質は含まれていません。平安時代末期から使用され、江戸時代には木材保護や染料、防腐剤など、幅広い用途に用いられてきました。

早速桧のサンプルに柿渋を塗ってみたところ、桧の上品な木目を保ちつつ、杉の赤身のようなピンクの色目を持った、新しい自然な表情を見せてくれることが分かりました。またオイルを使わないので刺激臭もなく、無臭柿渋使用のため柿渋特有のニオイもありません。

まるで桧と杉のいいとこ取りをしたような柿渋塗りの風合いは、今までの塗装品とは違う自然で優しい素材感を求められる方に最適だと思います。

桧を住宅建築にもっと身近に取り入れてもらうため、自然塗料よりさらにエシカルでありつつ、オイル系塗料よりさらに自然な風合いを持たせられる塗装方法を模索し、日本古来からの伝統技術である柿渋を使った塗装品をラインナップに加えました。


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