HInokinoHI

ひのき史上、
最もひのきに見えないHInokinoHI

ひのき史上、
最もひのきに見えないHInokinoHI

板の木目は、基本は板目が多くなる。木はたくさん使いたいが、板目だらけのモクモクした空間は圧迫感があります。
HInokinoHIを使った時に、このモクモクした感じにならないように考え、実際に自分達で板を加工しながら検討していったときに、薄いスリットを入れると木目が消えるような瞬間がありました。

熊野の森の凹と凸

熊野の森の美しさ、水、空気の綺麗さ。この自然の美しさを形にできないか?という思いからHInokinoHIの開発は始まりました。凹は熊野のしっかり管理された桧の綺麗な木目、凸は熊野の綺麗な空気で天然乾燥された、荒々しい挽き板のままの仕上げ。この二つが互いに引き立てあい、熊野の森のような陰影が立体感を醸し出してくれます。

「味わい」を追求する加工

HInokinoHIは開発当初、複雑な加工形状がゆえに板の反り、実部分や裏溝との取り合いで板の割れが懸念されていました。実際に加工時に板が割れてしまったことも。しかし、職人とともに加工形状の改善を重ね、凸部分を粗木にする場合、どこまでが製品として「味わい」を表現できるのか、どこからが「汚い」とみなされるのかなど、求める「味わい」についてのボーダーラインを定めていきました。

仕様

STANDARD スタンダード

塗膜を形成しないので、木の香りを保ち、日焼け・風化・劣化を抑制し白木の美しさを保ちます。
※HInokinoHIはクリア塗装(木肌美人)のみです。着色塗装はありません。

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HInokinoHIの納入事例

開発 STORY

STORY 01

デザインコンセプト 大迫 学氏

熊野の森の美しさ、水、空気の綺麗さ。思わず深呼吸したくなります。この自然の美しさを形にできないか?と、綺麗で雄大な自然への「憧れ」から考え始めました。

野地さんから熊野の森や木材の特徴を教えていただいたことを基に、凹は熊野のしっかり管理された桧の綺麗な木目、凸は熊野の綺麗な空気で天然乾燥された、荒々しい挽き板のままの仕上げ。この二つが互いに引き立てあい、熊野の森のような陰影が立体感を醸し出せれば良いなと思い考えました。

コロナ禍になり、熊野の地を未だに踏めずにいます。ですが、そのぶん憧れは強くなり、野地さんを通して感じた熊野の森が神々しくまぶたの裏に浮かぶのです。


STORY 02

HInokinoHI製品開発のきっかけは?

ベガハウスさんとnojimokuのそもそもの出会いは、私達が企画したウェビナーイベント「3人の建築家が考える 暮らしと木のデザイン」を見ていただいたことがきっかけでしたね。ウェビナー終了後のアンケートに大迫さんが「自社でも製品開発してみたい!」と書いてくださったことで、今回のプロジェクトが生まれました。そもそもなぜ私達にお声がけくださったのでしょうか?

野地
大迫

もともと私達も、ものづくりをしていく中で、カタログから選んだものというよりは、自分たちでつくりだしたもので家をつくっていくのが好き。またお客様も、その様子を楽しんでくださる方が多いです。ウェビナーを見て、野地木材さんのものづくりや製材、森に対する想いが伝わってきて、私達も仲間に入れもらい、一緒に楽しくものづくりをすれば、その楽しさがお客様にも伝わるんじゃないかと思いました。

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社屋も隣接するゲストハウス「ベガ荘」も、随所にものづくりへの想いがつまっている。 スタッフ自らアイデアを出し作り出す家具などのモックアップや、取手ひとつとっても手作りという、手を動かして仕事をすることにこだわりながら、ものづくりを楽しんでいる様子が伝わってくる。


STORY 03

なぜ桧なのか?野地木材の課題とベガハウスから見た桧の存在と印象

熊野では桧のきれいな材が多くとれますが、 それを商品として市場に受け入れられる需要が少なくなってきている中で、これからの桧の使い方や新しい桧のかたちを大迫さんに相談させていた だきましたね。 そこでまず熊野の絵を見てもらおうとサンプルを送りました。

野地
大迫

はじめに桧のサンプルを受け取った感想は、 強くて良い香りと木柄のきれいさです。 南九州の木材は杉が中心で桧は貴重なイメージです。 その桧をふんだんに使える可能性があるなら、 それは すごく魅力的なことだと思いました。

桧は既存の使い方では需要も用途も減る中で、「新しいデザインで現代の住宅にうまく融合させたい」という私たちの依頼から、どのような考えでこのようなデザインに至ったのでしょうか。

野地
大迫

日頃プランを考えるときも、間取りだけを考えるのではなく、お客様の暮らし方を聞いて、どの ように暮らされるのかを読み取り、プランに落とし込んでいきます。 今回のHInokinoHIも、かたちありきではなく、ものづくりの背景を知りたくて、 まず動画を見ました。コロナ禍で熊野には行けなかったので、ノジモクTVで熊野の森の様子やどういう製材をしているのか、原木市場での社長のおもしろい動画も見て(笑) 熊野というところはこういうところなんだと分かりました。鹿児島の森との違い、そして桧のきれいさ。この2つの対比。これをかたちで表せたらと思ったのが最初の入り口でした。

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STORY 04

現代の桧の使い方を考えかたちに落とし込む

大迫

板の木目は、基本は板目が多くなる。木はたくさん使いたいが、板目だらけのモクモクした空間 は圧迫感があります。HInokinoHIを使った時に、このモクモクした感じにならないように考え、実際に自分達で板を加工しながら検討していったときに、薄いスリットを入れると木目が消えるような瞬間がありました。そこから幅の検討をしていき、 野地木材さんの方でサンプルを作ってもらいながら、寸法の仕様が決まっていきました。

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大迫さんからデザイン案を2パターンいただき、まず手加工で試作品を製作。
そのサンプルをベガハウスさんへ送り、zoomで打ち合わせ。
スタッフの方々も参加し、どちらのデザインにするかを決めた。


STORY 05

複雑な加工形状と粗木を化粧として見せる、新しい挑戦

実際にHInokinoHIを使って、こういう空間になったらいいな、というイメージはありましたか?

野地
大迫

朝陽、夕陽、夜の照明。 様々な光を浴びた時に、天井にメリハリや立体感が出るようなものにし たいと思いました。そういう意味合いで段差もつけたし、あえて凸部の幅も小さくしました。また天井は手に触れるところではないので、ガサガサでもボサボサでも良い。色々とチャレンジしやすいんです。熊野の桧の乾燥させたままの、ありのままの姿があらわれるのが一番いいなと思いました。熊野でしか出ない味わい。そして刃物できれいに削ったところの対比があればいいなと思いました。

普段はいかに段地をつけずに加工精度を高めるか、また色味を揃えるだとか、含水率だとか、きれいな材を求める依頼が多くある中で、大迫さんのオーダーは、粗木の状態で出せないか?だとか、いわば「味わい」を求められた。はじめは少し戸惑いがありましたね (笑)今まで私達がつくっていたものの価値観とは、また違ったところの価値があるんだということを今回知ることができました。

野地
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複雑な加工形状がゆえに板の反り、実部分や裏溝との取り合いで板の割れが懸念された。
実際に加工時に板が割れてしまったことも。加工形状の改善を重ねた。
また凸部分を粗木にする場合、どこまでが製品として可か、どこからが「汚い」とみなされるのか。
求める「味わい」について工場とボーダーラインを決めていった。


STORY 06

作り手の声 【設計】 ベガハウス 谷 柾紀氏

家を設計する時に、「家の中と外を繋げたい」という思いがふつふつと湧いてくる事がよくあります。この物件の土地もまさにそんな思いに駆られるような、空の美しい土地でした。
住まい手が日々の暮らしの中で、室内にいる時に、自然と空へと視線が誘われるような仕掛けをこの建築には施した方がいいよと、土地と空がひそひそと囁いていました。そんな「空への仕掛け」を建築として形にするために、平屋建ての構成ではあるものの、L型平面の一部の屋根を高くすることで、ダイニングの空間は高天井としています。そこに高窓を設置することで、室内から空を眺める開口部を計画しています。この開口部の内部と外部の天井の仕上げが同材であると、「空への仕掛け」ができる!と考えたのが、HInokinoHIを採用する発端でした。

現場監督と大工による共同作業と繊細な検討の元、天井面のガラスの納まりや、目地の通し方、目地材の選定、板の並べ方などに注意を払い、玄人好みの納まりとなりましたが、住まい手はHInokinoHIの陰影がスッと通った見た目や、板目の風合いが空間の内外部で繋がった雰囲気などを、工事現場で夜な夜な自身の照明で照らして眺めて楽しんでいたそうで、大そう気に入っていただけたようです。

桧の板目に少しだけ手間を加えることで、いつもと見え方が変わり、どこか爽やかな風を感じるHInokinoHIの独特な風合いは、今後の設計でもまだまだ活躍の場があると踏んでいます。


作り手の声 【施工】 ベガハウス 山野 竜暉氏

HInokinoHIを使⽤してみて

「内と外がつながって⾒える、⽊の天井にしたいです」それがお施主様の強いご要望でし た。そのため、HInokinoHIをリビングの天井から軒裏まで張り、連続性のある仕上がり になりました。仕様の決定にあたっては、実物⼤のモックアップを使い、お施主様の同席の もと検証を⾏いました。HInokinoHIを活かすための⽬地のとり⽅・⾒付・素材、そして 天井の割付。実際の天井⾼を再現し確認することで、⽬地の素材や⾒付で空間全体の印象が 変わってくるのが⾯⽩かったです。今後も、お施主様の雰囲気や好みに合わせた空間が作れるよう、この天井材を活⽤したいと思います。

HInokinoHIを⾒てみて

熊野の桧は⽊⽬がきれいだな、とまず思いました。HInokinoHIはスリットが⼊っていることで、⽊⽬のばらつきも気にならなくなっています。スリットの凹部とは対象的に、凸部は荒仕上げで加⼯されていて、それが荒々しさと美しさの絶妙なバランスで成り⽴っていると感じました。お施主様も⼤変気に⼊った様⼦で、「ソファに座ってHInokinoHIを眺めながらゆっくり過ごす時間が好きです」と仰ってくださいました。


作り手の声 【加工】 田島 由加里

はじめて加工形状図を見たとき、今までこのような加工の経験がなく、できあがりのイメージが想像できずに不安な面もありました。
複雑な加工形状ゆえ、加工時に板が割れてしまったり、粗木を化粧として見せる為の原板の選別の難しさ、また寸法精度を安定させるのも難易度が高いもので、何度が試作品

をつくり、加工形状を定めていきました。
これまでにない難しい加工でしたが、できあがった製品を見て、すごく味のある素敵な製品だと実感。HInokinoHIを使い、どのような空間ができあがるのか、楽しみにしています。


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