作り手の声 【設計】 ベガハウス 谷 柾紀氏
家を設計する時に、「家の中と外を繋げたい」という思いがふつふつと湧いてくる事がよくあります。この物件の土地もまさにそんな思いに駆られるような、空の美しい土地でした。
住まい手が日々の暮らしの中で、室内にいる時に、自然と空へと視線が誘われるような仕掛けをこの建築には施した方がいいよと、土地と空がひそひそと囁いていました。そんな「空への仕掛け」を建築として形にするために、平屋建ての構成ではあるものの、L型平面の一部の屋根を高くすることで、ダイニングの空間は高天井としています。そこに高窓を設置することで、室内から空を眺める開口部を計画しています。この開口部の内部と外部の天井の仕上げが同材であると、「空への仕掛け」ができる!と考えたのが、HInokinoHIを採用する発端でした。
現場監督と大工による共同作業と繊細な検討の元、天井面のガラスの納まりや、目地の通し方、目地材の選定、板の並べ方などに注意を払い、玄人好みの納まりとなりましたが、住まい手はHInokinoHIの陰影がスッと通った見た目や、板目の風合いが空間の内外部で繋がった雰囲気などを、工事現場で夜な夜な自身の照明で照らして眺めて楽しんでいたそうで、大そう気に入っていただけたようです。
桧の板目に少しだけ手間を加えることで、いつもと見え方が変わり、どこか爽やかな風を感じるHInokinoHIの独特な風合いは、今後の設計でもまだまだ活躍の場があると踏んでいます。
作り手の声 【施工】 ベガハウス 山野 竜暉氏
HInokinoHIを使⽤してみて
「内と外がつながって⾒える、⽊の天井にしたいです」それがお施主様の強いご要望でし た。そのため、HInokinoHIをリビングの天井から軒裏まで張り、連続性のある仕上がり になりました。仕様の決定にあたっては、実物⼤のモックアップを使い、お施主様の同席の もと検証を⾏いました。HInokinoHIを活かすための⽬地のとり⽅・⾒付・素材、そして 天井の割付。実際の天井⾼を再現し確認することで、⽬地の素材や⾒付で空間全体の印象が 変わってくるのが⾯⽩かったです。今後も、お施主様の雰囲気や好みに合わせた空間が作れるよう、この天井材を活⽤したいと思います。
HInokinoHIを⾒てみて
熊野の桧は⽊⽬がきれいだな、とまず思いました。HInokinoHIはスリットが⼊っていることで、⽊⽬のばらつきも気にならなくなっています。スリットの凹部とは対象的に、凸部は荒仕上げで加⼯されていて、それが荒々しさと美しさの絶妙なバランスで成り⽴っていると感じました。お施主様も⼤変気に⼊った様⼦で、「ソファに座ってHInokinoHIを眺めながらゆっくり過ごす時間が好きです」と仰ってくださいました。
作り手の声 【加工】 田島 由加里
はじめて加工形状図を見たとき、今までこのような加工の経験がなく、できあがりのイメージが想像できずに不安な面もありました。
複雑な加工形状ゆえ、加工時に板が割れてしまったり、粗木を化粧として見せる為の原板の選別の難しさ、また寸法精度を安定させるのも難易度が高いもので、何度が試作品
をつくり、加工形状を定めていきました。
これまでにない難しい加工でしたが、できあがった製品を見て、すごく味のある素敵な製品だと実感。HInokinoHIを使い、どのような空間ができあがるのか、楽しみにしています。