熊野市飛鳥町。
標高400mの山あいに、nojimoku配送センターがあります。
ここで行われているのは、ただ商品を送り出す出荷作業ではなく、季節とともに変化する木材と向き合う仕事です。
今回は、6年前にnojimokuへ入社して以来、飛鳥町で暮らしながら配送センターで働く東さんご夫妻にインタビュー。
空気が澄んだこの地域で、5人のお子さんを育てながら働くご夫婦に、仕事のこと、暮らしのこと、そしてnojimokuで働くということについて伺いました。

「塗装は生き物」―気候に左右される難しさとおもしろさ
――まずは、お二人の仕事についてお聞かせください。
私は、出来上がった商品を全国へ発送するために、トラックへ積み込む作業などを行っています。
トラックの手配そのものは本社で行います。そのため配送センターは、本社から届いた連絡を元に、ドライバー対応や積み込みの仕方などの出荷作業が中心です。加えて、一部の塗装など簡単な加工も対応しています。
他には、柱など本社には置いていない商品の一部を、配送センターで在庫品として保管しています。
妻は、主に塗装を担当しています。
塗装には本当にさまざまな種類があるのですが、今は床材の塗装が中心です。
――これまで何名かお話を伺い、nojimokuさんのお仕事は天候や道路状況に左右されるなと感じました。普段お仕事をしていて、「これは大変だな」と感じることはありますか?
塗装は、本当に一筋縄ではいかないです。
配送センターは山あいにあるので、夏は40℃、冬は-10℃と極端な寒暖差があります。
その中で、塗装の品質を一定に保つのが難しいです。
私は日頃から「塗装は生き物」だと言っていますが、その時々の季節や天候によって塗装状態が大きく変わってきます。
塗りむらができると、違う商品になってしまうため、結構気を遣うんです。
たとえば、夏と冬では光沢度が変わります。
加えて冬は気温が低く固まりにくくなるため、ヒーターを使って温めたり、通常2日の乾燥時間を3日に伸ばしたり、扇風機で風を当てたりとさまざまな工夫をしています。
塗装液の量をコントロールすることもあります。
逆に、梅雨の時期などは、塗料がべたつきやすくなることもあります。
ベテランになればなるほど、季節を読む力が問われる仕事ですね。
そのため基準を設けて、なるべく季節を通して均一な商品を提供できるようにしています。
同じ商品を作り続ける難しさはありますが、それがおもしろさでもあると思っています。
塗装が難しいものだと、検品を5回行って初めて基準をクリアすることもあるんですよ。
――5回!でもそのおかげで安定した品質を維持できているんですね。その判断軸となる基準はどのようにして決めていくのでしょうか?
専務(※1)が品質管理を担当しているので、専務と状況を共有しながら品質基準を決めています。
決める過程では、さまざまな試験を重ねていきます。
光沢を出したい場合の方が、調整が難しいですね。
専務や社長とも、よく「難しい生き物だよね」という話をしています。
※1 専務取締役である野地 良成(よしなり)は、代表取締役社長である野地 伸卓(のぶたか)の弟にあたる
――光沢のある材料はどのような特徴があるのでしょうか?
光沢系塗料の場合、材料表面をコーティングするため、一度剝がれると補修ができないというデメリットがあります。そのため、ペットを飼っているご家庭などには不向きですが、代わりにコーティングをしない自然系の塗料をオススメしています。
自然系塗料の場合、多少の傷であれば自分で塗り直すことができますので。

未経験からの挑戦。「せっかくなら木を学びたい」
――nojimokuに入る前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
熊野の隣にある尾鷲市で漁師をしていました。
6年前に漁師を辞めたあと、せっかく熊野に住んでいるなら木のことを学びたいと思ってnojimokuに応募しました。
最初は私だけがこちらに来て、子どもたちを預ける保育園のめどが立ってから妻にも来てもらいました。
――生活も働き方も大きく変わりましたよね。
はい。最初は覚えることが多くて大変でした。
夏はとにかく暑くて…最初の2〜3ヶ月だけで体重が10kg落ちました。笑
でも、現場にはスポットクーラーやお茶が用意されていますし、「のどが乾いたら休憩してね」と声をかけてくださるなど周りのサポートがあるので安心です。
――私はオフィスワークばかりなので、暑いとすぐに「涼しいところへ入りたい」と思ってしまいます。その点、nojimokuの皆さんは暑さに強いですよね。それはやはり慣れなのでしょうか?
確かに夏バテする人を見たことは無いので、みんな暑さに慣れているんだと思います。
もちろん、まるっきり外というわけではないですが、とはいえ日中は40℃近くまで暑くなります。
そのため、これからnojimokuに入る人は、真夏になる前に体を慣らしてもらうのが良いと思います。
現場作業に慣れていない人は特にそうですね。
入った当初は、気候に対応するのが大変だと思うので。
でもnojimokuでは、現場環境が良くなる方法を常にみんなで考えています。
色々とアイデアを出し合って、社長へ提案することも多いんです。
私の場合、課長という立場もあり、現場から出た意見を上げていくことも仕事だと思っています。
その点、社長や専務とも年齢が近いため、要望も伝えやすくありがたいです。
年が離れていると「生意気だ」と言われることもあると思いますが、そういったことは一切ないです。

子育てと仕事の両立。自然と人が支えてくれる暮らし
――採用ページの動画で「子どもの休みが取りやすい」と話されていました。実際、お仕事との両立はいかがですか?
漁師のころは、「子どもの行事も休むな」と言われていました。
そのためnojimokuに入社する時、専務に『その時しか見られないような子どもの行事は、会社を休んででも参加させてほしい』と伝えました。
それ以来、本当に全部休ませてもらっています。とてもありがたいです。
普段は、私が月曜から土曜まで、妻が月火水の3日間勤務しています。
もちろん、仕事が詰まって忙しくなる時もありますが、前もって進めておくなどして休める状況を作っています。
配送センターの人たちにも協力してもらって、仕事が止まらないように調整しています。
とにかく会社側は、社員が休むことに対して前向きだと思います。
――それでも現場仕事だと、家に持ち帰れずに残業することもあると思います。そういう時はどのように対応しているのでしょうか?
もちろん出荷が間に合わないときなどは、生活よりも仕事を優先します。
繁忙期は20時ごろまで残りますし、人が少なければ休日出勤することだってあります。
その代わり妻は、保育園のお迎えに合わせて時短勤務をさせてもらっています。
我が家は子どもが5人いるので、基本は子育て優先ですね。
これも私から専務に要望を上げているのですが、nojimokuは子どもに合わせて融通を聞かせてくれる環境があると思います。
今は下の子が年長と小さいため、妻も時短勤務です。
いずれ大きくなってきたら、フルタイムの働き方になるかもしれません。
その時々の希望に対して要望を上げれば、会社も柔軟に対応してくれるため助かっています。
――会社が子育てに理解があるのは嬉しいですね。一方で、暮らしについて不便に感じることはありませんか?
買い物は、車で30分かけて熊野の市街地へ下りていく必要があります。
その移動距離の長さや、物価の高さについては田舎ならではかもしれません。
奥さま「でも楽天やアマゾンといった通販もちゃんと届きますし、土日などで週に数回買い出しに出る程度ならばそこまで不自由に感じることもないと思います。」
また、学校も集落に一つという規模なので、たとえば子どもを習い事に通わせようと思うと市街地まで往復1時間というのが当たり前になってきます。
ただ、我が家の子どもたちは、特に何もやらせていません。
自宅の横には一級河川もあり、水遊びや魚釣りなど、都会ではなかなか味わえない楽しさを味わえているのではないかなと。
自然豊かな環境は、子どもたちにとってもかけがえのない経験につながっていると思っています。
――とても素敵ですね。お話を伺っていると、とにかく良い環境で子育てができているんだろうなという印象です。
学校へ通う時、10人ぐらい並んでみんな仲良く通学しているんですよね。
上の子が下の子の面倒を見てくれる田舎ならではの関係性は、とても良いなと思って見ています。
都会には都会なりの便利さが魅力ですが、ここではご近所さんから天然はちみつをもらえたり、端材(加工した木材の余り)を使って薪ストーブや薪風呂を楽しむ人がいたりします。
その時期に応じた、草花の香りを楽しむのも良いと思います。
実際、そのような自然の暮らしに憧れて移住してくる人もいますし、物々交換がきっかけでちょっとした会話が生まれるのも楽しいですよ。
生活にひと手間かけたい、という人にはオススメできる環境です。
奥さま「まぁ、Uber eatsには憧れますけどね。笑」

熊野での暮らしを豊かにするのは、チャレンジ精神
――このインタビューは「nojimokuではたらくって大変ですよね?」がテーマです。ただ、話を聞けば聞くほど、熊野の環境を楽しんでいる方が多いと感じます。なぜ皆さんそんなに楽しめるのでしょうか?
新しく来る移住者の方を見ていると、皆さんそれぞれに目的を持ってきています。
自然が素晴らしい、農業がしたいなどですね。
もちろん「来てみたら違った」ということもあるとは思いますが、何かしら自分なりの目的を持って来てもらうことは大事だと感じます。
田舎あるあるで、人間関係に壁がなくみんな仲良くしてくれる環境だというのも大きいですね。
以前、地域のスーパーがつぶれそうになったことがあります。
そのとき、移住者の一人が「やってみようかな」と声を上げてくれたことで、存続できることになりました。
「とりあえず田舎へ」という方には、向いてないかもしれません。
でも、自分なりの目標や移住の理由を持っている人にとっては、楽しめる環境なのではないでしょうか。
過去には、ドイツから来られた方もいました。
もし製材に興味があるなら、nojimokuを紹介することもできますよ。
――とはいえ未経験の仕事にチャレンジするのは、なかなかハードルが高いと感じる方もいると思います。実際のところ、nojimokuでの仕事は大変だと感じますか?
大変というより、やりがいがあります。
提案すると社長が『どんなものかイメージしてみて』と背中を押してくれるんです。
もともと配送センターで対応できる塗装の仕事は、今より少なかったんです。
でも、試行錯誤しながら取り組むことで、増やせるようになりました。
社長も「やりたいことがあったらどんどん提案してきて」と言ってくれるので、チャレンジ精神のある人にはスキルアップできる環境だと思います。
やりたいことがあったらどんどんやらせてくれるのが、nojimokuの強みですね。
製材の仕事にもさまざまな工程があるので、「やりたいです」と言えば「勉強してみようか」とその工程に入れてもらえることもあります。
とにかく自分から手を挙げることが大事です。
――チャレンジしたい方には素晴らしい環境ですね!仕事を進めるには専門知識も必要になると思いますが、どうやって身に付けて行きましたか?
私の場合、人と話すのが好きなので、どんどん聞きに行ってメモしていました。
最初は当然わからないことだらけですが、自分から身に付けていこうという姿勢が大事だと思います。
私もそうやって身に付けて行きました。
今は教える立場になりましたが、「わからないことがあったら、わかるまでとことん聞いて」と伝えるようにしています。
聞くことは悪いことではないです。
わからないまま進むより、聞きながら覚えた方がいい。
木材を知りたい、塗装を覚えたい、木から板を作りたい、理由は何でも良いと思います。
暮らしと同じで、「何かよくわからないけれどnojimokuで働こう」というより、自分なりの目的を持ってくることが大事です。
社長もよく「熱意」と言っていますし、そういう気持ちがある人には、本当にぴったりの職場です。
何より、楽しく働けると思いますよ。
まとめ
標高400mの山あいで、季節とともに表情を変える木材と向き合いながら働く東さんご夫妻。
「塗装は生き物」と語るように、熊野の厳しい自然は仕事の難しさを生む一方で、同じものを作り続ける奥深さや、挑戦の余地を与えてくれています。
5人の子どもを育てながら働く日々は決して平坦ではありません。
しかし、子どもに対する職場の理解、仲間同士で支え合う風土、そして周囲の自然や地域の人たちとの温かい関わりによって、暮らしは豊かさに満ちています。
「やりたいことがあれば、どんどん提案してほしい」
社長のそんな言葉の通り、現場には常に新しい挑戦が歓迎される空気があり、自ら手を挙げることで学び、成長できる環境があります。
自然に寄り添いながら働くこと。
家族との時間を大切にできること。
そして、目的や熱意を持つ人にとって大きく成長できる環境であること。
熊野での暮らしとnojimokuでの仕事は、そんな「豊かさ」がそっと息づく毎日です。

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