2023.04.26 Wed

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nojimoku

「木造建築のどこが好き?」と聞かれて、私は「環境に優しいところ。」と答えていました。のじもくインターンに参加するまでは

#トピック, #のじもくインターン生のブログ

〈2022年9月19日~23日にインターンをしてくれた桂川紗帆さんのブログです〉

私は名古屋生まれ名古屋育ちの大学4年生。名古屋大学の工学部建築学科に通っています。もともとZEBやパッシブデザインなどのエコな建築に興味がありましたが、調べていく内にカーボンニュートラルである木材、そして木造建築に興味が移り、現在は建築材料の研究室で木材の物性について研究しています。

実はこれ、自分で言うのも何ですが、レアな経歴だなと思っています。というのも、建築学科ではあまり木材、木造について学ぶ授業がなく、研究室がある大学も少ないんです(農学部にある場合が多い)。このため就職については、木に関わる仕事に就きたいという気持ちがある一方、同時に、建築も木も両方学んできた強みを活かせる場所がいいなと、漠然と考えていました。

結局具体的な就職ビジョンが何もないまま、将来についてぼんやりと悩んでいた最中、友人に誘われて、のじもくツアーに参加しました。「せっかく誘ってくれたし、なんか面白そうだから」と軽い気持ちで参加したツアーでしたが、そこで専務が発したある言葉が、とても印象に残ったのです。

「製材所は林業と建築家を繋ぐ役割がある。木についても建築についても知っておかないといけない。」

おおお???
ひょっとして川中って、建築も木も学んでいる私に向いている職種なのかも???

不意にポンっと現れた新たな選択肢、どんどん興味が湧いてきて、「インターン是非」と声がかかったら、行くしかないでしょ、インターン!!!

というわけで、前置きが長くなりましたが、9月中旬に野地木材工業にインターンに行ってきました!今回はインターンに参加した感想をお伝えしようと思います。

〈熊野到着日〉
朝10:30、名古屋駅から高速バスに乗り、約4時間かけて、熊野に到着。
コワーキングスペースの「きのもり」で、ナゴヤTシャツ姿で大歓迎ムードの専務に加え、社員の青木さん、岡田さん、もう一人のインターン生である堀崎さんがお出迎え。今回のインターン中、特にお世話になった方々です。初めてのインターンで緊張していたけれど、皆さん優しくてすぐに和みました。

だけれども、あくまでこれは、インターン。ということで、専務から早速インターンの課題が提示されました。その名も…!

「木と土と水、桂川の環境・林業ビジョンはコレだ!!」

この、私の苗字(桂川)になぞらえられたナイスなタイトルには、①自分にとって木とは何か、②誰のために何ができるか、③それができた時に何が実現するのか、④のじもくの仕事がどのように眼に映ったか、の4つのテーマが含まれています。
これらのテーマについて考えていきながら、インターンに参加することになります…!難しそう…、でも、頑張るぞ!!

この日の夕食は、専務のお宅にて、専務特製スパイスカレーと堀崎さん特製カルパッチョ、専務のご長男特製ポテトサラダといった特製づくしの豪華なお食事。皆さん料理上手で凄い!とても美味しくいただきました。
でも実は、もう一つ感動したことがあって…それは、

無垢材に囲まれた空間の居心地の良さ!!

裸足で家にあがらせてもらったのですが、無垢材フローリングの足触りの心地よさに驚きました。裸足で歩きたいと思う床って凄くないですか?
また、天井仕上げや柱、棚まで熊野の木で揃えられた空間は優しくて、暖かくて、自分の家じゃないのに、心の底からリラックスして、くつろいでしまいました。

↑特製づくしパーティーの様子。よく見ると、専務のTシャツには名古屋の「八マーク」がチラリ。

インターン期間中は、熊野にある「あぶでん」という民泊に泊まりました。古民家を改修した宿で、昔ながらの懐かしい雰囲気を楽しみつつ、とても快適に過ごせました。家主は、穏やか笑顔と優しい口調が素敵な井上さん。親切にしてくださり、ありがとうございました。

↑泊まったお部屋。机、ライト、Wi-Fi完備でデスクワークも快適。人生初の蚊帳でした。

〈インターン初日〉
この日は晴天!!!
まずは朝礼に参加して挨拶を済ませた後、各工場・配送センターを回って野地木材の社員一人一人に、主に仕事内容についてのインタビューをしました。
そこで感じたのは、野地木材全員の仕事に対する熱意!!
一人一人作業内容は違うものの、普段注意しているところは何ですか?という質問には皆さん即答で答えていて、「より高品質なものをお客様へ届ける」という共通した信念の元、一致団結して製品を作っていることが伝わってきました。
「この木製品が将来どの部材になるか分かった状態で作業できるので、完成イメージが想像しやすく、高品質なものを作りやすい」とおっしゃっている作業員の方もいて、一貫生産の強みも感じられました。

↑インタビューの様子。皆さん親切に答えてくださって、優しい…!

この日の夕食は、社員の木村さん、真砂さんと一緒に居酒屋さんで食べました。初対面だけど上手く話せるかな?という不安もありましたが、お二人の紀州弁全開ぶっちゃけトークがとても面白く、閉店時間まであっという間の楽しい食事会になりました。

〈インターン2日目〉
この日は山に入り、間伐材を収集している様子を見学しました。
林業は危険で体力的にキツい仕事とは聞いていたけれど、こんなに大変だったとは!!
急斜面での作業が多く、山の中に入るまでの車が通る林道も狭く曲がりくねっていて運転初心者の私は愕然。

↑ジグザグの林道、私には運転は…無理だ!

そして、もう一つ意外だったのは、林業はとても複雑で頭もよく使う仕事だということ!

まず、どの木を間伐するかの選定が難しい。間伐といえば、「一部の木を伐採して光が入るようにすることで、森林が健全に成長するのを促す作業」と学んだけれど、林業視点では「単位面積当たりの単価を増やす作業」であることも非常に大事とのこと。将来高く売れそうな木を見極めるのは勿論、選定の際に実は重要な要素となっているのが、補助金の制度だそうです。
林業は、補助金なしでは続けていけないほど収益性が低いというのが現状で、補助金を貰える条件を満たすように施業するのが極めて重要になる。その条件の一つに含まれるのが間伐材の量。時には、「森のための間伐ではなく、補助金を貰うための間伐」になってしまうこともあるらしい。何だか違和感を感じてしまう…。

次に、伐った木をどのように収集するか考えるのも難しい。目の前にある木を伐ることは出来ても、急斜面にある木を、点々と立っている他の木を傷つけないように運び出すルートを一本一本の木について考えて伐出しなければならなくて…って、想像しただけでも頭が混乱してしまう…。

↑無数に立つ木から間伐する木を選んで運ぶ。伐る以外にも大変なことが沢山…

林業って大変だ〜!
それでも、森を守るため、川下に木を届けるため、山で必死に働いている人がいる。とてもかっこよかったです。山から帰るついでに松茸探しをして、この日の見学は終了。

↑お目当ての松茸はなかったけど、舞茸?を発見してはしゃぐ井上さん

夜は社長、トニーさん(社長のお兄さん)も交えて、社長行きつけのお寿司屋さんに行きました。その後は人生初のスナックへ!!社長の十八番に酔いしれつつ、私たち(青木さん、岡田さん、堀崎さん、私)も「紅蓮花」を一緒に熱唱して楽しいひとときを過ごしました。

↑左から、社長、堀崎さん、岡田さん、青木さん、私、トニーさん。お寿司が絶品でした。

〈インターン最終日〉
遂に最終日、この日はインターンの成果発表会。
3日間という短い期間でしたが、振り返ってみると、新しい発見や経験で溢れた、思い出に残るインターンとなりました。

インターンを受ける前、木の好きなところと聞かれて、真っ先に思い浮かぶのは「環境に優しいところ」でした。
でも、インターンを通じて、

「一つの木製品の中には、材料を採り、加工し、お客様に届けるまでの一つ一つの工程に関わった人たちの思いがぎゅっと込められている」
「同じ木でも地域ごとに異なる歴史があり、木には、文化として今まで受け継いできた人たちの思いも込められている」
「木に囲まれた空間は、心の底からリラックスできて凄く居心地が良い」

といった、「環境に優しい」だけじゃない木の魅力を発見し、木材ってこんなにも素敵な魅力で溢れているんだということに気がつきました。
このことに気がついたのは、野地木材の社員全員が、「熊野」そして「木」の良さを知ってもらおうという強い熱意を持って仕事に打ち込んでいたのを、この目で見て、実際にその木に囲まれた空間に触れることができたからだと思います。

ただ、残念なのは、これらの魅力は、実際に現場に行って、目で見て、触れて、会話しないと伝わりづらいということ。

最近、カーボンニュートラルという時代の波に乗って木材が注目されているけれど、真の木材の魅力は多くの人にはまだまだ知られていないはず。
だから、木材に触れて、囲まれて、木材のことを知って「木を好き」と思えるような機会を増やし、木の魅力が広まって、「環境に優しいから木造にする」ではなく「木が好きだから木造にする」となっていけば、今後の木業界がもっと盛り上げるのではないかと考えました。

インターンの発表会、私は「木と土と水、桂川の環境・林業ビジョンはコレだ!」の課題に対して、このような結論を出して発表し、無事インターンの全ての工程が終了しました。

↑「きのもり」でインターン発表会。緊張した…。

「インターンぜひ」と声がかかって、「えい!行っちゃえ!!」と勢い任せに参加したインターンでしたが、沢山の熊野の方と触れ合って、実際に体感しながら木について学ぶことができた、充実したインターンとなりました。参加してみて、本当によかったです。
そして、「また来てね!」と皆さんが言ってくださって、心の底から嬉しかったです。
熊野の皆さん、また会いましょう!!
そして、ありがとうございました!!

↑最後に、皆さん最高の笑顔でパシャリ。優しい皆さんに囲まれて、素敵なインターンになりました。

名古屋大学工学部環境土木・建築学科 4年 桂川紗帆 2022年10月5日

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