どうも、のじもくツアーに参加した大塚理香子です
私は、大学で森林科学、大学院で里山から公園まで人が関わる緑地の管理運営について研究しています専攻分野は少し変わったものの、森に関わる仕事への興味は薄れておらず
きこり体験や環境学習の運営など、やってみたり調べたりする中で、ふと思いました
「私はどれぐらい林業知ってるんやろうか?…川中って知らんよな?」
そんな時、大学の先輩・岡田さんが株式会社nojimoku(以下、のじもく)のインターンに参加していたことを思い出し
気づけば、「のじもくツアー」に申し込んでいました
全部書きたくなりますが、製材業の魅力、熊野の木材にも人にも優しいのじもく、2本立てでお送りしたいと思います!
1日目は、木材市場から製材所、加工場、製材ゲームという順で見学しました
木材市場とは、伐り出した丸太をスギやヒノキなどの樹種、直径などで仕分ける場所
のじもくがある三重県・熊野は、和室に使われる立派な木材が採れる三大人工美林の地
木材市場は、良質な木材を仕分けし、適した使い方「適材適所」をする上で重要だそう
「木材市場でどういう丸太を選ぶかで板材の取りやすさ、良材がとれるかが決まるんよ」 とのこと
節の多さ(枝が生えていた跡)、直径、一番玉(木の根元部分で節が少ない)かどうかなど木材についての知識、培ってきた感覚で丸太を仕入れます
もう、この時点で職人技
しかし、まだまだ序盤でした…
続いて、製材所へ
ツインバンドソーという機械で丸太を切り出していきます
「機械なら私でもできそう」
そう思った次の瞬間、社員の方がバールらしきもので丸太を動かしていました
「角度や位置を調整して、節を避けて、歩留りがよくなるように切り出してるんやよ」
節、色、顔(節が少ない側)を目視で確認しながら、調整して切り出してゆきます
しかも、私からすると確認するのは一瞬で、1本を切り出すのはたった数分
職人技すぎて、思わず凝視してしまいました
製材業というものの高度さに驚きながら、加工場へ
「『のじもくでしかないものを』と考えて塗装までやるようになった。まあ、大変やけど。」
塗装や耐久性付加など、加工まで行うことに驚きました
お客様と何度も対話を重ねて、色や傷つき防止用の塗料などをつけているとのこと
そこには、のじもくが製材を通して熊野の木材、そして、のじもくの独自性を伝えようとする思いが溢れていました
最後は、「セーザイゲーム」というボードゲームを行いました
歩留りが良くなるように、木材選びから板材の切り出し方までを体験するゲームです
素人の私でも、節の少ない良材S材は85000円分の板材を切り出せたのに、節の多い並材B材から切り出せたのは約40000円分
加えて、板材の木目(年輪の並び方)を考えなかったため、木目の美しくない板材ばかり
仕入れる木材を選び方、木目や節も見極める重要さを実感しました
「材を切り出すと、余る部分が出てくるから、余さずに済む企画やキャンペーンも考えてる」
製材して余ってしまう材も残さずに済むように、話し合って販売方法を工夫しているそう
技術と知識で切り出した材は、営業担当の社員さんの工夫によって余さず販売されていました
「製材業は丸太一本の付加価値を高めることができる営み」
木材の性質、歩留り、生産性、木目の全てを考えて行う製材
板材の性質、良さを理解した上で工夫を重ねて販売する営業
目利き、切り出し、加工に関わる社員さんの技術力、営業に関わる社員さんの工夫に驚きの連続でした
2日目は、熊野の地形、文化、歴史を巡るツアーへ
まずは、大丹倉という山へ
「おおー、こんな場所あるの!?」
どこまでも山々が連なる、鳥と風の音だけが響く世界
熊野の大地に圧巻されました
続いて、『古事記』に出てくる産田神社、そして伊弉冉尊を祀った花の窟神社へ
人々が恵みを受けてきた水、緑、石を祀っていて、自然に対する人々の畏敬が感じられました
鬼ヶ城の千畳敷や獅子岩は、岩が波に浸食されてできた地形
「火山性の岩が削られてできた地形を珍しいからって祀ってるんよ」
熊野の自然が育んだものに目を向け、思いをはせている熊野の人々が見えるような気がしました
現在、日本には伐期を迎えた樹木がたくさんあり、どんどん伐り、高層ビルやバイオマス発電に使う動きが多いです
「お客さんの要望に応えるだけじゃなく、熊野の木を伝えられるようにしていきたい」
良質な熊野のヒノキを安売りせず、熊野のことも知ってもらえるようにという想い
ヒノキを活かした板材の開発、熊野の歴史ツアーとの組合わせなど色々な企画に取組んでいました
さらに、のじもくでは子育てをするママさんが営業を行う社員の9割を占めています
お客様の情報、仕事の状況を共有し、お互いに助け合える仕組みをつくっているそう
誰かが急に出勤できなくなっても、滞りなくやり取りができ、安心して学校行事などに参加できる環境があります
「無理なくできるようにする」
熊野の木材だけではなく、熊野で働く人のことも考えていました
製材業の深みと技術力、それを実現している社員の方々の凄さと工夫
そして、熊野の木材を余さず、社員の方が働きやすい環境にも配慮
のじもくでは、熊野という土地と人を大事にした板材をつくっていました