家の外部から室内にまで、桧をふんだんに使っていただいた住宅。事前にどのような建築を作られるのかに加え、素材に対するこだわりについても幾度となくお話を聞きました。
建築家と製材屋の知見を総動員し、桧の持つ性質・性能を考慮しながら意匠的な魅せ方を検討。そしてそれを実現するために、サイズや加工形状など、さらに打ち合わせを重ねながら仕様を固めていきました。
仕上がりの美しさはもちろん、私たちだけでは想像できない桧の使われ方や、材を理解し、より美しく活かす為に自ら「木配り」をされる姿勢に感動しました。色味に徹底的にこだわったリビングの内装はまさに圧巻。設計者、施工者の皆様との打ち合わせが深い学びとなった貴重な時間でした。

たくさんの杉材に囲まれた温かみある空間づくり。天井や壁、フローリング、造作といった内装に加え、外壁や木塀にもnojimokuの杉材を使っていただいています。
玄関では小幅板風羽目板を縦に並べ、壁として使用。縦に入ったリズミカルなラインが楽しい印象です。デッキ材は節のない部位を選び塗装されることで、広葉樹のような雰囲気を感じる仕上がりになっています。同じ杉材でありながら、様々な表情を引き出す神谷さんの「木づかい」には、いつも脱帽させられます。
住まい手さんからも、こんなメッセージをいただきました。「たまに物を落とすと凹みます。床も心も。しかし、最初は直そうと頑張ってましたが、凹みや傷も思い出として刻まれます」。木の香りや肌触りを全身で味わってくれているようで、嬉しく思いました。

構造材や杉の外壁材を使っていただいた湖畔の別荘。
現しとなる梁桁や柱材は、熊野まで来ていただき工場で木配りをしました。
木配りとは図面をチェックしながら木材に番付をして、どの部材をどこに配置するか、どの面をどこに向けるかをあらかじめ決める作業です。
一般的にはどの木材をどこに使うかはプレカット工場にお任せするのですが、少しでも仕上がりの質感を上げたいことから、設計士さん自らが工場に来て木配りを一緒に行いました。
同じ杉材でも節が大きい部材、多い部材、赤身の部材、赤白混ざった部材と、それぞれ個性があり、どの部屋にどの部材を使うかを仕分けするだけで、空間の質感がぐっと高まります。
このようなこだわりをもったお客様と一緒に仕事をすることは、
作り手としてとても嬉しく思います。