山師って本当にかっこいいなぁ、ホーホー!
はじめまして、早稲田大学建築学科修士1年生の大竹です。
5月4日に、熊野こどもだいがっこうの準備として、山師の井上兄弟と、高口研究室のメンバーと3代目社長に就任したばかりの伸卓さん、そして子供たち2名の計10名で間伐を行いました!(山師さんとは、伐採を請け負う山のプロフェッショナルのことです!)
人生のやりたいことリストに入っていた伐採を実際にできたことはとても楽しく、そして何より、自分達の身近にある木材のルーツや、そこに関わる山師の仕事を体験できたことは本当に新鮮でした。
先日離島の村のドキュメンタリー番組で、山師っていうのは簡単なようで、実は、かなりの技術を要する職業である、村で最も頼られている人物でもあると紹介されていました。それを聞いて、山師、かっこいい!と思い、自分も是非実際に体験してみたいと思っていました。
今回、山師を体験できると聞き、技術を要するとは言っても、正直、木を切るだけなわけだし、少し慣れてくれば素人の自分でもなんとかなるものだと思っていました。
しかし、もちろん、こんな甘い考えは間伐体験で覆されることになりました。
当日は、朝9時に道の駅くまのに集合し、乗り込んだ車で細い山道を10分程度進むと今回の間伐体験の入り口に到着しました。
神奈川生まれ神奈川育ちの自分にとって、こんなに自然に恵まれた場所に来ただけでもかなり新鮮で素晴らしいことなのに、その上、憧れの山師さんたちに教わりながら間伐体験できるなんてかなりワクワクです。
さて、ヘルメットと軍手をつけて山の中に入っていきます。山の斜面には間伐された木が残っているのですが、これは土砂崩れ対策にもなっているらしく、林業には産業的な一面だけでなく防災的な一面があるのだと感じました。
↑間伐体験入り口付近、まっすぐに伸びるスギ・ヒノキが印象的
↑斜面を登って、間伐体験の場所に向かう 意外と急な斜面
少し斜面を登って現場に到着すると、山師さんが、間伐する木の条件についてボードを使って丁寧にわかりやすく説明してくださいます。個人的にとても印象的だったのは、成長が良すぎる木も間伐の対象になるということで、その理由は他の木と品質が合わなくなってしまったり、他の木の成長を妨げてしまったりするからだそうです。
説明を聞いた後は実際に自分が間伐する木を選んで目印をつけます。
これが本当に難しいんです!
素人目にはどの木もまっすぐに綺麗な木に見えて、どの木が曲がっているのか、どの木が成長し過ぎているのかはよくわからないんです。ですが、山師さんが、木の幹を見ると鹿に齧られていて腐ってしまっている木や、見上げると成長し過ぎている木を見分けることができるということを教えてくださって、なんとか間伐する木を選ぶことができました。
↑山師さんと間伐する木を選ぶ
さて、間伐する木が選べたら、次は、山師さんが実際に木を切るデモンストレーションをして、チェーンソーの使い方や、木を倒す方向の決め方、木の切り方などを教えてくださいます。
[伐採の流れ]
①木を倒す方向を決める
→邪魔になる木のない方向に倒す。倒した時に他の木に引っかかると、⑤のステップが必要になり、手間が増えてしまう。(木が倒れる方向は一番重要で、木を適当な方向に切っていると思っていた自分にとっては新鮮でした。)
②木を切り倒す
③倒れる途中で他の木に引っかかった木は、倒したい方向にロープで引っ張る。
→この作業が大変。水を多く含んでいる木は、体感100kg以上ある。これを引っ張るには体力が必要で、それにはかなりの時間がかかる。(できればこの作業はしたくないので、山師さんは①の工程で木を倒す方向を決める時、とても真剣)
・木が倒れる 木が倒れてくる方向は危ないので、山師さんたちの間では注意喚起の言葉、「ホーホー!!」が受け継がれています。 (あの北島三郎の『ヘイヘイホー』で有名なアレです!)
↑山師さんのデモンストレーション 木が倒れてくる方向は危険!「ホーホー!」
↑まずは試し切りから
試し切りが終わったら、いよいよ先ほど選んだ木を実際に切っていきます!
実際にチェーンソーで切ってみると、思ったよりも力が必要で、木に吸い込まれていくような感覚になります。外から見ると簡単なように見えますが初めて使うチェーンソーを前にみんな緊張気味で、真剣な面持ちで取り組んでいきます。
超個人的な話になってしまうんですが、チェーンソーといえば、スプラッター映画の原点『悪魔のいけにえ』(1974)に出てくる殺人鬼のイメージがありまして、「チェーンソーを持ったら殺人鬼みたいに勇ましく振り回してやろう!」とおバカなことを思っていたんですが、そんなことができるはずもなく。。。実際にチェーンソーを持ってみるとかなりの緊張感で、後から写真で見ると、生まれたての小鹿みたいになってました。情けない。
一人一人、山師さんに手取り足取り教えていただきながら切っていくのですが、この時、チェーンソーを握るだけでも内心はかなり心細い自分にとって、山師さんは本当に頼もしい存在でした!
↑丁寧に教えてくださるきこりさんと自分 何が「殺人鬼みたいに」だ、、
↑倒した木が他の木に引っかかると、木を回しながら引っ張る
↑他の木に引っかからずに倒れると爽快
最後は、大トリ、子供たちの番です!
子供たちは、安全のために、ノコギリで細めの木を間伐していきます。(直径15センチほど)
ノコギリを使う分、子供たちの方が大人に比べて大変で、10分間もギコギコとひたすらノコギリを動かすので子供たちはヘトヘトです。最後の方は山師さんも加わって、二人がかりでノコギリを動かしていました。(笑)
いよいよ木が傾き始めると、「ホーホー叫ぶぞ〜!」と意気込んでいた子供たちはすっかりヘトヘトで声も出せず、木が倒れる音だけが響きました。
チェーンソーがない時代、昔の人はノコギリで大木を切っていたと考えると、本当にすごいなと感じる瞬間でもありました。
↑大人たちに囲まれながら、ノコギリを動かし続ける 頑張れ!
今回の間伐体験を通して、山師さんがいかに頼もしくてかっこいい職業なのかを痛感し、同時に、林業の魅力や楽しさも感じ、素晴らしい時間を過ごすことができました!
GWのお忙しい中で、このような素晴らしい機会をくださったnojimokuさん、そしてご指導くださったお二人の山師さん、本当にありがとうございました!!
(文責:大竹)
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