製材、塗装、出荷、事務など、nojimokuを支えるさまざまな現場の声を伺うなかで、どの方のお話にも共通するのは、「仕事は決して楽ではない」というリアルさと、それでも前向きに働ける理由があるということ。
今回お話を伺ったのは、製造2課で現場のとりまとめを担う木村さんです。
かつてご自身も家業に関わり、経営者側の目線を持っていた木村さんだからこそ見えている、nojimokuならではの現場のことや、人の育て方。
木村さんの話には単純な「働く大変さ」だけではなく、どんな企業でも課題に上がる「マネジメント」のノウハウも詰まっていました。
取材:よしみね(nojimoku社外)
第0話 私の製材所像が壊れた ←よしみねさんとは?

みんなが効率よく働けるように、段取りを組む仕事
──はじめに、現在のお仕事についてお聞かせください。
僕は、段取りをして、予定を組んで、みんなが効率よく仕事できるようにするのが基本ですね。
自分で手を動かすことは、そんなに多くありません。
1日を通して見ると、リフトに乗っている時間が一番長いかもしれませんね。
リフトに乗りながら、みんなの様子を見たり、朝や夕方に自分の事務仕事をしたりしています。
──普段はどちらでお仕事されているのでしょうか?
本社工場です。
工場と事務所が隣り合っているので、工場にいる時間が8割ぐらい、事務所が2割弱ぐらいです。
僕らが担当するのは、製品としては最後の仕上げの部分で、板になっている木を、きれいに仕上げていく工程です。
──製造2課には何名ぐらいいらっしゃるのでしょうか?
10人ちょっとですね。
ミャンマーの子たちは若いですが、他のメンバーは40代ぐらいから、僕らに近い年齢の人が多いです。
以前は、80代後半ぐらいの方もいて、ミャンマーの子たちが入ってきたばかりの頃に、仕事を教えてくれていました。
年齢も国籍も違うチームが、自然と打ち解けるまで
──ミャンマーの皆さんとは、年齢も国籍も離れていますよね。仕事をするうえで難しさはありましたか?
最初は、彼らも不安だったと思います。
僕らも、どこまで言葉が通じるのか、誤解がないようにどう伝えるかを考えていました。
でも、当時一緒に作業していた年配の人が、上手に打ち解けられるようにしてくれたんです。
最初は少しこわばった顔をしていた子たちも、だんだん打ち解けていきました。
今から思うと、最初に年配の人と一緒に作業できたのは、よかったんじゃないかなと思います。
──チーム全体の雰囲気はいかがですか?
うちの製造2課は、みんなでなんやかんやしながら、仲良くやっていこうとしている感じがあります。
一人ひとりがそういう雰囲気を持っていたら、悪い雰囲気にはなりにくいですよね。
和気あいあいとできるようになってきたと思います。
──木村さんのお話を伺っていると、押しつけがましくない優しさを感じます。
そんなことないですよ(笑)。
でも、向こうも不安やろし、こっちも不安やったので。
言葉が通じるかどうかだけではなくて、どうすれば誤解なく伝わるかは、やっぱり考えますよね。
部下のミスを責めるより、「自分の責任」として受け止める
──仕事をしていれば、ミスが起きることもあると思います。そういう時は、どのようにコミュニケーションを取られていますか?
下の人がミスをしても、どちらかと言えば自分の責任として受け止めています。
僕がミスをしたら、さらにその上、社長の責任になる。
そういう感覚でやっています。
だからこそ僕も、思い切って、ミスしたら社長の責任や、ぐらいの気持ちで(恐れすぎずに)取り組んでいます。もちろん、何でも人のせいにするという意味ではないですよ。
うちの上の人たちは、まだ仕事ができていない人の方を大切にしているように見えるんです。なんでやろう、と思うぐらいに。
人間関係で嫌な思いをしないように、課長同士のミーティングや上からの話もあります。
怒ってもあかん。
一人ひとりとちゃんと話をする。
その人の気持ちがわからないと、怒ることもできない。
そういうことは、僕もここでかなり勉強させてもらいました。
──その方が、仕事はやりやすそうですね。
そうですね。
「こうした方がもっとよくなるんじゃないか」と思ったことは、みんなで話します。
自分がいて、他の人が「よかった」と思ってくれる。
それを見た上の人も「よかった」と思ってくれる。
みんながそう思えるようにしたいんです。
製造2課の中では、そういうふうにやっているつもりです。

昔は怒っていた。だからこそ、今は反省がある
──木村さんご自身も、もともとそういう接し方だったのでしょうか?
僕が若いころは、20代ぐらいの時は、どちらかと言えば怒ってやってきた方でした。
でも、今思うと、申し訳ないことをしたなと思っています。
40歳ぐらいから、だいぶ反省しました。
もうその時に戻ることはできませんが、だからこそ今は、そういうやり方はあかんなと。
nojimokuに入ってから、人との接し方はかなり勉強しました。
──会社自体も変わってきた感覚がありますか?
ありますね。
入ってきたころは、不満や愚痴も結構ありました。
言うても変わらんとか、言ったもん勝ちとか、そういう空気もあったと思います。
でも待遇もかなり変わってきたし、会社自体の成長はびっくりするぐらい感じます。
給料を上げるには、利益も必要。元経営者側だからわかること
──あえて不満を挙げるとしたら、何かありますか?
給料の話をすると、やっぱり上を見たらきりがないですよね。
毎年、会社が給料を上げようとしても、上がらなかった年があれば不満になる人もいる。
そこは難しいです。
でも僕は、利益が上がらないと、待遇を上げるのは無理やん、と思っています。
現場のとりまとめになってからは、周りにも、待遇を上げるためにもみんなで頑張ろう、という話をしてきました。
でも、ただ頑張れば利益が上がるわけでもない。
その話もずっとしてきました。
──それは、経営者目線ですね。
僕も昔、自分で父と、製材を家業としてやっていた時期があったんです。
だから、経営者側の気持ちもわかるし、今は従業員として働いているので従業員側の気持ちもわかる。
その両方がわかることを、自分の武器にしていこうと思っています。
──nojimokuに入る前は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?
若いころは大阪で何年か働いていました。
その後、家の後を継ぐために帰ってきたんです。
いずれは自分で商売がしたいと思い、父がやっていた会社に入ったのですが、水害で会社をたたむことになりました。
その後、「製材はもういいかな」と別業種でも働いたのですが、もう少し稼ぎたいと考えてnojimokuに面接に来ました。
ダブルワークをして1年ぐらい経ったころ、前の社長、今の会長に「夜の仕事はやめて、うち一本にしたら」と言ってもらったんです。
そこからは、ずっとnojimokuで働いています。

「自分だったらできていない」と思うから会社のすごさが見える
──木村さんは、社長のやり方をとても客観的に見ていらっしゃるように感じます。
自分でやっていたからこそ、思い浮かぶんです。
僕がここに来たとき、事務所に事務員さんが5人も6人もいるのを見て、正直びっくりしました。
中小企業の製材所で、この規模で事務員さんがそれだけいたら、普通は驚くと思います。
でも、今思うと、それが当たってここまで(会社が良くなって)きたんですよね。
営業や人とのつながり、いろんな情報の入り方。
そういうものを見ていると、もし自分だったらできなかっただろうな、と思います。
──たしかに、現場を知らない人間からすると、職人の世界は「何かすれば怒られる」「教えてもらえない」というイメージを持ってしまうこともあります。
そういうイメージはあるかもしれませんね。
でも今のnojimokuは、人を大切にしようという空気があります。
社長も専務も、どちらかと言えば優しいです。
なんとかしたらな、という感じがあります。
もちろん、これから会社がピンチになることもあると思います。
その時にどう立ち向かえるかは大事です。
でも、結構ポジティブに立ち向かっていく会社のような気がしています。

信頼関係があるから、思ったことを言える
──新しい仕事が来た時、どのように役割を割り振っているのでしょうか?
まず、自分の部下の中でも信頼している人に相談します。
でも、何もかも一人に押しつけたら困るので、できるだけ負担が偏らないようにします。
その人にとって、やりがいがあるようにも持っていきたいですね。
僕が全部やらなければいけなくなったら大変ですから。
みんなが動けるように、上手に持っていく感じです。
朝礼などで大きくみんなに話すこともあります。
ただ、仕事が僕らのところに来る前には、ある程度、課同士や上長同士のミーティングなどで話ができています。
「これはちょっと無理やろう」という話も、その時にできます。
いきなり自分たちだけで解決できないような難しい問題が入ってくることは、そんなにありません。
──木村さんのお話を聞いていると、信頼関係の根っこには「相手のことを理解していること」があるように感じます。
そうかもしれません。
「俺のことわかってないな」と思うと、信頼は崩れていきますよね。
僕より若い人が、僕に対して「でもこうやろう」と言ってくれることがあります。
それは嬉しいです。
信頼があるから言えるんやと思います。
「下のくせに」とか、そんなことはないです。
言われたらありがたい。
思ったことを言ってくれるようになったら、それが一番いいですよね。
──とても健全な関係ですね。
なかなか難しいですけどね。
同じ仕事をしていても、体調が良い時と悪い時では違うし、悩み事がある時もある。
家族と喧嘩して仕事をする日もあるかもしれません。
でも、「そういうこともあるよね」と言える関係なのが大事だと思います。
年がら年中それでは困りますけど、そういう日もあると知っていることが大事かなと。
まとめ
製造2課で段取りを組み、チーム全体を見ながら現場を支えている木村さん。
リフトに乗り、現場の様子を見ながら、誰がどの仕事を担えばよいかを考える。
そこには、ただ仕事を割り振るだけではない、相手の性格や能力、今の状態まで含めて理解しようとする姿勢がありました。
かつて家業に関わり、経営の難しさも経験してきた木村さんだからこそ、利益を上げることの大切さも、従業員として働く側の気持ちもわかる。
その両方の視点があるからこそ、会社の変化や、nojimokuらしい人間関係や働き方をリアルに見つめることができるのかもしれません。
「下の人がミスをしたら、それは僕の責任」
「思ったことを言ってくれるようになったら、それが一番いい」
そんな言葉から見えてきたのは、責任を引き受けながら、人を信じて任せていく姿でした。

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