2026.09.19 Sat

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第10話 社長夫人ではなく、一人の働く人として

#nojimokuで働くってたいへんですよね? ノンフィクション~社員たちの本音~, #お知らせ

「nojimokuで働くってたいへんですよね?」というテーマで始まった本連載。

これまで登場した方々の話から見えてきたのは、立場や仕事内容は違っても、それぞれが「どうすればよくなるか」を考えながら働いている姿でした。

今回、お話を伺ったのは、社長の奥様であり、営業・顧客対応・広報など幅広い仕事を担う野地麻貴さんです。

東京でアパレルの仕事をしていた麻貴さんは、結婚を機に熊野へ移住。

「最初の1年は、入籍せずに同棲という形にしていました。もし無理だったら帰ろうと思っていたんです。」

そう振り返る麻貴さんですが、今では熊野で暮らし、nojimokuの商品を「100%自分が納得して良いと言える」と話します。

社長夫人という肩書きだけでは見えてこない、一人の働く人としての麻貴さんの思いを伺いました。

取材:よしみね(nojimoku社外)
第0話 私の製材所像が壊れた ←よしみねさんとは?

東京から熊野へ。最初の1年は「試し運転」だった

──熊野に住まわれて、今どれぐらいになるのでしょうか?

20年くらいですかね。結婚前にこちらへ来て、移住して1年後に入籍しました。もう少しで、熊野にいる時間の方が東京より長くなるかもしれません。

──それまではずっと東京だったんですか?

そうです。東京の練馬区で育ちました。学生の多い、賑やかな街でしたね。

──そこから熊野への移住は、かなり大きな変化だったと思います。

はい、だから最初の1年は、入籍せずに同棲という形にしていました。もし無理だったら帰ろうと思っていたんです。

でも、熊野には移住してきた方が多くて、最初からそういう方々とご飯を食べたり遊んだりする機会がありました。前の職場でもよくしていただいて、周りの人に助けてもらうことが多かったです。

もちろん、都会に比べると不便に感じることもあります。でも、ないものを挙げても意味がないので。

こちらに来てからの方が、関西方面へ出かけるなど、むしろいろいろなところへ行く機会が増えました。そういう時間があるので、熊野での生活も自分なりに楽しめているのだと思います。

「売れなくなる前に動く」アパレル時代に身についた危機感

──東京では、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?

アパレルの仕事です。今とは時代も違って、売上目標もかなり厳しかったです。私が配属されていたのは池袋や新宿の大きな店舗で、土日になると1人あたり何百万というノルマがあって、「売って売って売りまくる」という感じでした。

自分には少し合わないなとは感じていたんですが、売れているもの、売れなくなりそうなもの、お客様の反応…そういう変化を見ながら次にどう動くかを考える感覚は、そこで身につきましたね。

──その経験は、今の仕事にもつながっていますか?

つながっていると思います。たとえば「今は売れているけれど、そのうち売れなくなるかもしれない」と考えて、早めに動く感覚はアパレル時代に身についたものです。

nojimokuでも、ただ注文を待つだけではなく、次に何が必要になるのかを考えたいと思っています。

──当初はnojimokuで働くつもりはなかったそうですね。

はい。最初は「夫の会社で働くのは絶対に嫌だ」と思っていました。でも、仕事が忙しいから手伝って欲しいと言われて入ってみたら、全然知らない世界で、それがすごく面白かったんです。

山の木を使い、地域の資源を生かして丁寧に物づくりをしている現場を見て、すごいと思って。しかも、製品としても本当に良い。

アパレルの仕事では、自分がいまいちだと思うものも売らなきゃいけない場面がありました。でも今は、100%自分が納得して「良い」と思っている製品を提案できます。そこは、私にとってとても大きいです。

──もともと前向きなタイプなのでしょうか?

いや、どっちかというとネガティブ思考なんです(笑)。物事を始める時は、まず「これが失敗したら」という1番悪い状況を想像して入る。心配なことを全部リストに出して、一応つぶしておくみたいな。

でも、この仕事がすごく合っているから、前向きでいられているのかもしれません。やっぱり、製品が好きだということが大きいですね。

顧客対応、広報、仕組みづくり。増える仕事と向き合う

──現在は、どのようなお仕事を担当されているのでしょうか?

顧客対応が中心です。見積もりや問い合わせへの対応、案件の確認などをしながら、広報やYouTube、ホームページまわりにも関わっています。

ただ、やりたいことが多すぎて、全部が中途半端になってしまうこともあります。だから今は、優先順位をつけることや、仕事を仕組みにすることが大事だと感じています。

──「仕組みにする」というのは、具体的にはどういうことでしょうか?

たとえば、毎回同じように迷っている仕事があるなら、ルーティン化した方がいいですよね。誰か一人が頑張るのではなく、会社として同じ品質で対応できるようにしたいんです。

間違いが起きた時も、「間違えたこと」だけを責めても仕方がないと思っています。なぜ起きたのか。どうすれば次に防げるのか。そこまで考えないと、また同じことが起きてしまいます。

──ミスがあった時の対応にも、麻貴さんの考え方が出ているように感じます。

もちろん、報告してもらうことは大事です。大きなことでも、小さなことでも、まず共有してほしい。そのうえで、原因を一緒に見て、次に間違えない方法を考える。

顧客満足度を上げることは大事ですが、会社として利益を出すことも同じくらい大事です。お客様に喜んでもらいながら、会社も続いていく。そのために、無理や無駄を減らしていきたいと思っています。

信頼関係と自立。会社を良くするために言い合える関係性

──職場の中で大切にしていることはありますか?

普段のコミュニケーションです。何かあった時だけ話すのではなく、日頃から話せる関係をつくっておくことが大事だと思っています。

営業だけ、現場だけではなく、お互いが持っている情報を出し合うことが大切です。会社を良くするためには、「それは違うと思う」と言える関係も必要だと思います。

──これまでの連載で、社員の方々のお話も読まれたとうかがいました。印象に残っていることはありますか?

みんな、よく考えているなと思いました。仕事のことも、会社のことも、自分なりに受け止めている。

「自立して考える」というのは会社として大事にしていることでもあるんですが、みんながそれを意識してやっているんだなと感じました。誰かに言われたから動くのではなく、自分で考えて動ける人が増えると、会社はもっと良くなると思います。

スタッフやお客様と木挽座で楽しく飲み会の様子

「社長の奥さん」ではなく、「まきさん」として

──社長の奥様という立場で働くことに、やりにくさを感じることはありますか?

気を遣う部分はありますね。やっぱり。でも、意外なことにお客様が「社長の奥さん」って感じじゃなくて、「まきさん」として接してくださるんです。最初からそうだったので、すごくスムーズに入っていけたというか。1社員として見てくださっているのが、本当にありがたいですね。

──社内ではいかがですか?

もちろん、自分の立場があるのは意識しています。お客様から言われた要望や品質の課題は現場にストレートに伝えるポジションだと思っているので、そこは遠慮なく言うようにしています。

それが一緒に働いている方との意見の言い合いにもつながっているんですが、普段からのコミュニケーションがあるから成り立っているのだと思います。

──今後の展望を教えてください。

木の良さをもっと広く伝えていきたいです。国内だけではなく、海外にも届けられたらいいなと思っています。日本の木を使った製品には、まだまだ可能性があると思うので。

nojimokuのオリジナル製品や木の良さをもっと多くの人に伝えていきたいです。

出張のじもく酒場 お客様と一緒に材料を納めたモデルハウスの前で

まとめ

東京から熊野へ。

最初は「無理だったら帰ろう」と思いながら始まった麻貴さんの熊野暮らしも、今では東京暮らしの期間を超えようとしています。

ネガティブ思考を自認しながら、心配ごとを一つひとつ潰しながら前に進んできた麻貴さん。その歩みを支えたのは、「100%自分が納得できる製品」への確かな共感でした。

そしてもう一つ。お客様が最初から「社長の奥さん」ではなく「まきさん」として接してくれたこと。それが、社長夫人という立場を超えて、一人の働く人としての土台になっているのかもしれません。

顧客対応をしながら、広報を考え、仕組みを整え、会社のこれからを見ている。

その視点は、働く人としての実感と、会社全体を見渡す目線の両方から生まれているのかもしれません。

ちなみに…

当初、この連載は今回で完結する予定でした。けれど、麻貴さんのお話を伺う中で、そしてこれまで登場した社員の方々の本音を受けて、最後にもう一度、お話を聞きたい人が出てきました。

最終回は、社員それぞれが考えていた「たいへん」を知った野地伸卓社長に、あらためて「nojimokuで働くってたいへんですよね?」と、今後についての思いを伺います。

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