nojimokuでは現在、ミャンマー出身の技能実習生が3名活躍しています。
今回お話を伺ったのは、勤続4年目のシートゥーチョーさん(チョウさん・33歳)、3年目のテスカイタータ―さん(ターさん・24歳)、同じく3年目のサンサンウィンさん(ウンさん・27歳)の3人。
チョウさんはミャンマーで父親の木材業を手伝っていた経験があり、ターさんはnojimokuが人生で初めての職場。ウンさんはミャンマーで高校の英語と化学の教師を務めていたという、少し意外な経歴の持ち主です。
連載第8話となる今回は、海を渡って熊野にたどり着いた3人に、日本を選んだ理由、田舎暮らしのリアル、職場の雰囲気、そしてこれからの目標について、率直に語ってもらいました。
取材:よしみね(nojimoku社外)
第0話 私の製材所像が壊れた ←よしみねさんとは?

安全な国で働きたい。ミャンマーの3人が日本を選んだ理由
──まず、なぜ日本で働こうと思ったのか教えてください。
チョウさん:ミャンマーより安全だと感じました。ミャンマーは今、戦争もあるし、仕事も少ない。だから仕事をしてがんばろうと思い、日本へ来ることを決めました。
ウンさん:私は、ドラマで日本の季節やお花がきれいなのを見て、日本で働きたいと思いました。nojimokuについては、仕事の内容も何も知らないままインタビューを受けて、そうしたら日本に来ることが決まっていました(笑)。
ターさん:当時ミャンマーでは、若い人が日本に行くことが流行っていたんです。だから私も、という感じで決めました(笑)。 日本の仕事を知ったのは、日本語学校に通っていたときです。そこで、nojimokuから仕事のオファーをいただきました。
──皆さんそれぞれ違った思いがあったんですね。でも、たとえば収入面だけで考えれば韓国やオーストラリアなど他の国で働くこともできたと思います。なぜその中で日本を選んだのでしょうか?
チョウさん:韓国は給料が高いですが、韓国の会社はミャンマーの女の子をあんまり呼ばないんです。
──女性が安心して働ける環境という意味でも、日本を選んだんですね。ただ、日本語は世界的にも難しい言語と言われていますが、学ぶのは大変でしたか?
チョウさん:難しいですが、日本語の文法とミャンマー語の使い方が少し似ているんです。英語は主語と述語が逆になりますが、日本語はそのまま同じように使えるので、まだ覚えやすいです。
──それは意外でした!少しでも学ぶハードルが下がるのは良いですね。
チョウさん:はい。でも漢字は難しいです(笑)。
都会より村がいい。熊野の暮らしが「安心できる」理由
──日本に来てカルチャーショックはありましたか?
ウンさん:日本には意外といい人が多いなと感じました。ドラマではヤクザなど悪い人が多く出てくるので、勝手にそのイメージが付いていましたが、実際にはいい人が多くて安心しました。あと、日本の季節は想像以上にきれいでした。
ターさん:おばあちゃんに「年齢を当ててみて」と言われて、自分が思った通りの年齢を答えたら怒られました(笑)。
チョウさん:日本のトイレがハイテクすぎて。初めて使ったときに水が出てびっくりしました(笑)。 さすがにもう慣れましたが。
──nojimokuがある三重県熊野市は、東京や大阪のような都会とはだいぶ違いますよね。最初から田舎でもいいと思っていましたか?
ターさん:最初は都会に住みたいと思っていました。でも、昨年12月に友達と都会へ遊びに行ったとき、人と車が多くて面倒だなと。それで今は村の方がいいなと思っています。
ウンさん:熊野はとても静かでいいなと思います。自分の故郷に近い環境だから、安心して暮らせますね。
チョウさん:熊野は、私の故郷と同じぐらい自然豊かです。でも、私の故郷にはない海が熊野にはあるので、それは素敵だなと思っています。また、熊野はいいですが、都会に住む友人のことをうらやましいと感じることもあります。でもその分、お金も使うので大変だなとは思います。
──日本での生活で大変なことはありますか?
ターさん:時々、家族が恋しくなって帰りたくなることです。
チョウさん:私も寂しいです。でも自分たちで色々と工夫しているので今は大丈夫です。
ウンさん:この間、社長がミャンマーへ行ったときに、お土産をいっぱい買ってきてくれました(笑)。
──社長が「おつかい」をしてくれるのは嬉しいですね!調味料や麺などですか?
チョウさん:はい。でも、お米は日本のお米だけ食べています。日本のお米は美味しくて好きです。
ターさん:普段はミャンマーのものを食べることが多いです。自分たちで作っています。
──物価が上がっていることは大変じゃないですか?
チョウさん:それは大変だと思っています。どれも以前より3割ぐらい高くなったし、お米は2倍になりました。ミャンマーへ帰りたい気持ちもありますが、お金がかかるのでそこまで帰れていないです。
ウンさん:確かに大変ですが、日本は生活水準が安定しているので、安心して暮らせています。
──ミャンマーの家族や友人は、日本で働くことについて何と言っていますか?
チョウさん:戦争のない場所で働けていいねと言ってくれています。
ウンさん:ミャンマーと比べると日本の給料や暮らしは良いので、家族や友人からはいつも『すごい』と言われます(笑)。
先輩たちの「俺たちも失敗したよ」に救われる職場
──nojimokuで働くって大変ですよね?
チョウさん:はい、大変です。覚えることも多いですし、気をつけないと怪我にもなるので。私は怪我をしたこともありますが、ちゃんと気をつけていれば大丈夫だと思っています。毎日の朝礼や、現場でも先輩から常に「安全第一」と言われているので、その意識がだいぶ身に付いてきました。
ウンさん:重いものを運ぶことが多いので、女性が一人で作業をするのは大変だと思います。でも実際は一人でやることはほとんどなく、二人でやることが多いので大丈夫です。
──チョウさんは、もともと木に関するお仕事をしていたと聞きました。
チョウさん:はい。子供の頃から高校生まで父の仕事を手伝っていて、そこで木について色々と学びました。私は日本の木材が好きなので、日本の材木屋の仕事を見て、nojimokuで働きたいと考えました。日本とミャンマーでは道具の使い方も、仕事のやり方も全く違います。ミャンマーは機械がなく手作業ですが、日本は機械を使って効率的に安全な作業ができるので、日本の仕事の方が好きです。
──職場のコミュニケーションはどうですか?日本人の先輩たちとのやりとりで困ることはありませんか?
ウンさん:先輩たちが、分からないことがあったらちゃんと覚えられるように説明してくれるので、大丈夫です。機械の設定を変えるときも「怖かったら一緒にやろう」と言ってくれます。
ターさん:自分がミスをしてしまったときなどは「怖いな」「申し訳ないな」と思ってしまいますが、先輩たちは全然怖くないです。むしろ『私たちも若い頃はいっぱい同じことをやったから大丈夫だよ』って言ってくれるので、とても優しいです。
ウンさん:同じように日本で働く友人からは、「会社では優しく教えてもらえない」という話も聞いたことがあります。どこでも優しく教えてもらえるわけじゃないんだなと思いましたが、nojimokuの人たちはみんな優しく教えてくれるので良かったです。
──nojimokuの人たちについては、どう思いますか?
ターさん:質問すると、仕事のことだけじゃなく日本の文化についても丁寧に答えてくれます。新しいことを学ぶ機会もあるので、皆さんのことが好きです。
チョウさん:新入社員にもきちんと教えてくれるので、とても感謝しています。
自分のお店を持ちたい。3人それぞれの「これから」
──皆さんは今、求められる仕事に対してどのぐらい自分の力を発揮できていると思いますか?
チョウさん:75%ぐらいかな。
ウンさん:全部きちんとできているわけではないですが、自分たちの立場でできることは確実にできていると思います。数字で言うのは難しいですね。
──まだまだ伸びしろがありそうですね。将来の目標などがあれば、ぜひ聞かせてください。
ウンさん:私はもともと高校で英語と化学を教えていましたが、続けていくのが難しいと感じ日本へ来ることにしました。今は、自分のお店を故郷に持ちたいと考えています。食料品などを販売するビジネスをやっていきたいなと考えています。そのためにも、日本でお金を貯めてがんばります。
ターさん:自分が本当に何に興味があるのか、まだわからないんです。友人はみんな『私はこれに興味がある』という話をしますが、私はまだ…。だから、もう少し探したいなと思っています。
チョウさん:私は、良い従業員になりたいです。日本の仕事のやり方を覚えて、もっと自分でできることを増やしていきたいです。
まとめ
3人に共通しているのは、「故郷に近い環境で安心して暮らせる」という熊野の生活への満足感でした。
都会の方がミャンマーのお店もあり、便利なのはわかっているけれど、静かで自然に囲まれた熊野を選んだ。
その素直な感覚が、nojimokuでの仕事を長く続けられている理由のひとつなのかもしれません。
職場では、わからないことがあればわかるまで教えてくれる先輩がいて、失敗しても「俺たちも同じだったよ」と声をかけてくれる。
そんな環境の中で、3人はそれぞれの目標を持ちながら、日々の仕事に向き合っています。
故郷で自分のお店を持ちたい人、まだ自分の興味を探している人、木の仕事をもっと深めたい人。
熊野の山あいから、3人の「これから」が静かに動き始めています。
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