2023.04.27 Thu

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nojimoku

山野井瞳さんののじもくツアー日記

#のじもくインターン生のブログ, #のじもくツアー

〈2023年2月21日~22日にのじもくツアーにきてくれた山野井瞳さんの感想です〉

はじめに

 私は早稲田大学創造理工学部建築学科 3 年の山野井瞳です。埼玉生まれの埼玉育ちで、普段は埼玉県南部から東京に通学しています。今回のじもくツアーに参加したのは、大学の授業に特別講師として野地専務が来てくださったことがきっかけです。

私はものづくりサークルに所属しており、木材で家具や作品制作を行ったりもしましたが、材料としてホームセンターで売られている木の姿しか知らず、また値段の理由も分からずに利用していました。

講義を受けて自分があまりにも木のことを知らないことを痛感し、また熊野の地の自然に憧れを感じてツアーに参加することを決めました。

 参加者は私と建築学科同期の鈴木さんと、三重大に通う山口さんの合計3人でした。この2人とはツアー中ずっと一緒で、いろんなことを話せて本当に楽しかったです。

ツアーの流れはおおまかにいうとこんな感じです。

1日目:木の伐採現場~加工所まで一連の流れを見学

2日目:熊野の海と山をひたすら堪能

―1日目―

 電車→夜行バス→特急列車を乗り継いでようやく熊野市に到着しました。(車窓の風景がどんどん移り変わっていくのを見て遠さを実感しました…。)

到着すると野地専務がお出迎えしてくださり、ツアーがスタートしました。ちょうど早稲田大学の高口研究室もプロジェクトでいらしており、みんなで原木市場に向かいました。

↑雪が降っていた原木市

 ここでは原木が山積みされ、せりが行われます。熊野では主にスギとヒノキが採れ、ここでは木材の性質や値段のつけられ方について学びました。年輪の緻密さと一本の太さの迫力は木が相当な年月をかけて育ったことを物語っていました。

続いて製材所へと向かい、さっきまで荒々しかった丸太が木材へと変わっていく様子を見学しました。そのときの天候や木材の調子に合わせ、職人の目と手によって丁寧に整えられていく様子には、野地木材さんのこだわりを感じました。

↑蒸気をあてて水分を放出しやすくしている工程とニス加工を終えた木材

 次に実際に伐採が行われる現場にいきました。ワイヤーを巻き込つけて木を山からおろしており、迫力のある現場でした。山の人のチェンソー裁きはかっこよかったです。(このときは木を下す作業は終わっており、翌日別の現場で拝見しました。)

林業の人々が山を育て、私はその山の一部を頂いているのだと肌で感じました。

↑伐採現場と降ろされた木

 そのあと加工所や事務所を見学させていただき、夕食はみんなでご飯を食べながらいろいろな話ができて楽しかったです。

野地専務の奥様のまきさんが木材の活用そして製材所の現状と展望についてプレゼンしてくださり、とても勉強になりました。製材所が山と建築をつなぐ架け橋になっており、今後木材を活用していく中で欠かせない役割であると実感しました。(まきさん本当にありがとうございました!)

 夜は野地木材に勤める岡田さん宅にお邪魔させて頂きました。夜の満天の星空と朝日に照らされた熊野の風景は、本当に美しくて今も目に焼き付いています。(岡田さんお世話になりました!)

―2日目―

2日目は朝から野地専務に車で案内して頂き、午前中は海、午後は山を堪能しました。

野地専務が熊野の歴史や自然について教えてくださり、勉強になると共にすごく楽しかったです。海と山に囲まれた熊野が本当に美しくて、自分が普段暮らしている環境は自然が少ないことを実感しました。

山と海が当たり前に身近にある環境が羨ましかったです。お昼ご飯のとき、専務に山野井さんにとっての豊かさとは何かと問われて言語化することが難しかったのですが、のじもくツアーでの体験は間違いなく豊かな時間でした。(野地専務本当にありがとうございました!)

↑熊野の美しい自然

最後に

 野地専務をはじめとするご兄弟・ご家族の方々、並びに野地木材工業の皆様本当にお世話になりました。

工場で低価格での大量生産が主流になる現代で、小規模工場の地域連携で高品質な木材を生産し、様々な建築へと木を届けることを実現している野地木材さんを見学させて頂き、貴重な経験となりました。

熊野を生かす木材づくりを理念にし、企業努力を追求する姿は建築学生としてもこれから社会人になっていく者としても勉強になりました。

 環境問題の解決策としても建築の木質化に取り組む事案が増えてきましたが、建築に従事する人、そしてその建築を利用する人は木が生まれ育った山まで果たして考えているのでしょうか。

私は今回のツアーを通して、木のルーツを知ることは今後の木材への姿勢へ大きく影響すると感じました。

高い基準で管理された美しい木目の木材と、美的基準をクリアできなかったものの、内装材として何ら問題なく使える木材、どちらも事情を知らなければ金額や見た目だけで価値を判断してしまいます。

しかし、かけた手間暇と育った環境による品質の良さ、込められた思いを消費者並びに建築に携わる者も知るべきです。

知ることで木の良さを最大限引き出すとともに、木材空間への感じ方も変わるのではないでしょうか。

 木を生かすことは山を生かすことであり、それらは日本の大事な資源と景観を生かすことに繋がっていくと思います。今の自分、そして今後の自分には何ができるのか、考える良い機会となりました。2日間という短い間でしたが、本当にありがとうございました!

↑野地専務と岡田さん、ツアーを共にした二人との写真

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